事例紹介

「双日プロフェッショナルシェア(SPS)」設立

双日株式会社

(第4回プラチナキャリア・アワード最優秀賞)

人材育成・キャリア支援の考え方

人材育成基本方針

社員一人ひとりの個が活かされる環境づくり

双日の持続的成長のためには、安定的な収益基盤の創出とそれを維持・発展させていく人材の厚みが必要です。双日では、自ら考え、行動し、やり抜くことで、世界を舞台に「価値を創造することのできる人材=稼ぐ人材」をグローバル・マネジメント人材と定義しています。その上で、会社・組織へ最大限貢献できる人材として、計画的な人材育成に注力しております。(出所:双日株式会社HP)

2030年の目指す姿 「事業や人材を創造し続ける総合商社」であるために人材戦略を支える3つの柱

  1. 1. 多様性を「活かす」

    女性活躍推進、デジタル人材育成、外国人人材活躍 など

  2. 2. 挑戦を「促す」

    「双日プロフェッショナルシェア」設立、「Hassojitz」プロジェクト(組織横断型の新規事業創出プロジェクト)、独立・起業支援制度、双日OB/OGによるアルムナイ など

  3. 3. 成長を「実感できる」

    指導員・メンター制度、新・長期トレーニー制度、ジョブローテーション など

(出所:第4回プラチナキャリア・アワード記念シンポジウム講演映像)

具体的な取り組み

ジョブ型高度人材ファーム「双日プロフェッショナルシェア(SPS)」の新設

キャリアに関する価値観が多様化している中において、弊社で働く社員一人ひとりが思い描くキャリアを叶えられるよう、ジョブ型雇用形態の会社として「双日プロフェッショナルシェア」を21年3月に設立いたしました。多様なキャリアをかなえる選択肢として、70歳定年、就業時間/場所の制限無し、副業・起業可能とする新たなキャリアパスが可能となります。「双日プロフェッショナルシェア」に転籍する社員が、弊社で培ったスキル・経験を社内外で生かし、社会に価値提供していくことを目指しています。

(応募時に双日様よりご提出いただいた事例紹介文より)

「双日プロフェッショナルシェア(SPS)」の全体像

35歳以上の希望する社員のやりたいことを支援するキャリアプラットフォームとしてのジョブ型雇用の新会社

●多様な働き方を支援し、個人の個性、特徴を活かし自らの意志でキャリア構築をすることを支援
●就労日や勤務時間に柔軟性を持たせることで、副業・起業やキャリア幅出しのための学び直しが可能
●双日で培ったスキル・経験社内外で活かし価値を提供
●緩やかな双日グループの形成の一助として貢献

「双日プロフェッショナルシェア(SPS)」のポイント

  1. 1.副業・兼業で視野を広く「働く」

    これまで培ったスキル・経験を最大限発揮すべく、グループ外の仕事や興味がある分野の仕事をすることが可能です。双日での勤務を継続しながら、副業・兼業、さらに起業にチャレンジするための準備期間としても活用できます。

  2. 2.オープンイノベーションをもたらす双日グループのキーマンとして「働く」

    「ジョブ型雇用」を通じて特定領域の知見を深め、専門性の向上に繋げることができます。双日での経験、スキルに外部の業務経験をプラスし、双日グループに新たな着想やアイデアをもたらしてくれる存在として、個性を発揮していただきます。

  3. 3.70歳まで正社員で「働く」

    双日プロフェッショナルシェアでは定年を70歳としており、業務を通じて社会への貢献を続けながら、やりがいを持って働くことが可能です。年齢や体調に合わせた仕事量とすることで、充実した人生設計を新たに創造できます。

  4. 4.介護や家族との時間を中心にできる

    週2~3日相当の業務で介護や家族との時間のバランスを図り、ご自身のペースに合わせて働くことが可能です。例えば実家のご両親と同居して、フルリモートで勤務を行うなど、家庭事情に応じた働き方も実現可能です。

(出所:双日株式会社HP)

インタビュー

双日プロフェッショナルシェア株式会社(以下SPS)の丸山優敏取締役、村山宏様にお話しをお聞きしました。

※役職名・所属名はヒアリング当時(2022年6月)のもの

中央・下(向かって右側)の写真が村山様
(出所:第4回プラチナキャリア・アワード記念シンポジウム双日様講演映像より)

――どのような経緯を経て始められたのでしょうか。(実施した背景など)

社員の働き方、キャリアに対する価値観が多様化している時代の流れを踏まえ、例えば「将来起業をしたい」という目標を持つ社員や、家族の介護や実家の家業に関わらねばならないような社員に対して、自由度の高い働き方を通じた自律的なキャリア構築を支援するプラットフォームとして設立したものです。
中期経営計画の中で、多様性あふれる人材を活かす仕組みとして、緩やかな双日グループの形成と位置づけた3つの施策を立ち上げました。「独立・起業支援制度」、退職後も経済・社会活動を続ける双日OB/OGと双日役職員との人的ネットワークとして設立した「双日アルムナイ」、そして「双日プロフェッショナルシェア」を設立しました。
これらの施策は、双日グループの人材を活用し、事業と人材を輩出し続けるための取り組みでもあります。

――始めるにあたり、留意したこと、社内周知も含めてご苦労されたことはありますか。

メンバーシップ型雇用である双日において、ジョブ型雇用の新会社を設立する意義について正しく伝えることを大事にしていました。変化が著しい世の中において自律的キャリア形成が求められている背景を踏まえ、SPSのコンセプトの理解と、いかに「スピード感をもってSPS設立構想を実現するか」を重要視しました。

――社員の反応や利用状況、また社内で起きた変化等あれば教えてください。

双日社員向けにキャリアについて考えるセミナーを開催するなかで、「会社に頼るのではなく、自律的にキャリア形成について考える」ことが、少しずつ浸透してきていると感じています。既存の組織以外で働くことをイメージすることで、「自分は何ができるか、自分に足りないものは何か」、自身のスキルや経験の棚卸のきっかけになるため、リカレント教育の必要性を考えたり、自らの将来設計をブラッシュアップしたりという動きも出てきました。

――「ここが良い」というところを教えてください。また、これができると「もっと良い」というところがありましたら教えてください。

「ここが良い」ところは、今まで自分が培ったキャリアの「どこに価値があるのか、どれくらい価値があるのか」が客観的に分かることです。また、逆に「課題が明確に見えてきた」ことがリカレント教育やリスキリングにつながっていると思います。人生100年時代、会社での長いキャリア形成を考えた時、35歳以降で、こういった経験が出来ることは大きなプラスになっています。SPSで経験を積むことは、どの社員にとっても有益なものになるだろうといえます。「これができるともっと良い」ところは、メンバーシップ型の働き方をしている組織において、ジョブ型雇用の社員が活躍をしていくためには、受け入れる側の体制も整備していく必要もあると感じています。それらの環境が整ってくると、チャレンジしてみようと思う社員がもっと出てくるのではないかと思います。(村山様談)

――今後の展望

SPSのプラットフォームやノウハウを他社や外部組織、地域にも活用してもらい、大手企業人材を提供したり、プロフェッショナル人材を共有することで労働力不足の解消、生産性向上、地域活性化など様々な社会課題解決に繋げ、新たな価値を共創していきたいと考えています。プラチナキャリアの特徴を示す3つのキーワードのうちのひとつ「ビジネスで社会課題解決を目指す意識を持ったキャリア形成」は弊社も大いに共感しています。SPSの取り組みを多くの方に共感いただき共に動くことで、多種多様で大きな社会課題の解決に貢献していきたいです。

プラチナキャリア構築に向けたポイント(事務局より)

長期的
視点

単に長く働くのではなく、年齢によらず活躍し続けるキャリア形成が必要

本取り組みでは、双日での勤務を継続しつつ、双日で培ったスキル・経験を社内外で活かすことが可能です。そして本事例を通じて「副業や起業でキャリア幅出し、リカレントでの新領域開拓といった活動を通じて起業家精神を持つ人材を輩出することで、双日グループの価値創造につなげていく」としています。終身雇用や年功序列といった日本的雇用慣行の見直しが進む中、本業とも連携しながら、多様なステージ・場所で働き続けることを実現し、長期的な視野で自身のキャリアを築くことができる取り組みとなっています。

自律的
学び

自ら能動的に学び、経験を通じてスキルを磨いていくキャリア形成が必要

副業や起業も含めて自由度の高い働き方をベースにする中での能動的学びを通じて、自律的キャリア形成を進めて行くことができます。

社会課題
解決

ビジネスで社会課題解決を目指す意識を持ったキャリア形成が必要

SPSのプラットフォームやノウハウを外部にも共有し、多様な人材と共に社会課題解決を目指すことも可能です。