事例紹介

「心理的安全性の風土醸成による個性の発揮と成長促進」
「マイキャリアマップ」

サッポロホールディングス株式会社

(第4回プラチナキャリア・アワード優秀賞)

人材育成・キャリア支援の考え方

グループ人財マネジメントビジョン

サッポログループの最大の財産は、人財である。
人財一人ひとりがブランドそのものであり、人財の個性と実行力こそが、ブランドをかがやかせる。グループの人財が、心身ともに健康で、元気で明るく前向きなエネルギーをもって新たな領域に挑戦・越境し、サッポログループで働いていてよかったと思える企業をめざす。

人財開発・育成

サッポログループはすべての従業員を会社の宝である「人財」と位置づけ、それぞれが個々の強みを最大限に活かし、主体的なキャリア形成ができるよう、グループ各社の事業特性を踏まえた支援を行っています。
「自分のキャリアは自分で切り拓く」ことを掲げ、一人ひとりが自己実現への物語を描けるように支援し、お互いに教え学び合い切磋琢磨し合う施策を提供し、その学び・気づきがそれぞれの現場で実践され、成果につながる機会を創出していきます。

具体的な取り組み

「心理的安全性の風土醸成による個性の発揮と成長促進」

人財育成の土台となる「心理的安全性」の風土を醸成し、社員の個性発揮と成長を促進する。

目的
●心理的安全性を高めることにより一人ひとりが成長を実感し、能力を最大限に発揮できる「しなやかで強い組織(チーム)づくり」を推進することで経営ビジョンである「誰かの、いちばん星であれ」の実現につなげ、本気で会社を変えていく
●安心して自分の個性を発揮し、お互いを尊重し助け合い、新しいことに挑戦する心理的安全性の高い組織風土の醸成を全員で主体的に取り組む
目標
●心理的安全性とは何か?共通言語として理解する
●チームの心理的安全性を高めるための「心理的柔軟性」のリーダーシップを学ぶ
●自部署の心理的安全性を高めるための具体的な行動を身に着ける
内容
すべてのコミュニケーション、対話のベースとなる「心理的安全性」の理解と浸透を図るべく、役員を含む全社員にオリジナルの研修を実施。心理的安全性をベースとした1on1の推進等、対話の促進を図り、しなやかで強い組織・チームづくりを推進している。

「マイキャリアマップ」

先輩社員のこれまでのキャリア・歩みを公開

目的
社員が自身のキャリアプランを考える際に参考(ロールモデル・パーツモデル)とする。
対象
全社員
内容
参考になるような社員に以下の項目を記載してもらい、イントラネットで公開。
●これまでの経歴
●新しい職場に赴任したとき、もしくは新しい仕事を任せられたときの気持ち
●その職場での経験
●これまでの経験で活きたこと/今振り返ってみて将来に活かせたこと
(ヒアリング時ご提示資料を参照し事務局作成)
(第4回プラチナキャリア・アワード追加調査時ご提出資料より)

インタビュー

サッポロビール株式会社 人事部キャリア形成支援グループ 小林グループリーダーにお話しをお聞きしました。

※役職名・所属名はヒアリング当時(2022年6月)のもの(第4回プラチナキャリア・アワード表彰式映像より)

人事部キャリア形成支援グループ グループリーダー小林志野

――どのような経緯を経て始められたのでしょうか。(実施した背景など)

「マイキャリアマップ」は、社員が自らの経歴の棚卸しや確認のため、個人的に記入・使用するものとして古くから存在していましたが、数年前に運用方針を変更しました。現在は、人事部から、他の社員の参考になるだろうと思われるキャリアを持つ社員に依頼し、定型フォームに記載してもらい、イントラネットで公開しています。
「心理的安全性の風土醸成」の取り組みを始めた背景としては、2020年に挑戦や成長にフォーカスした人事制度を導入し、人財育成のための1on1ミーティング研修を行いましたが、従来から、従業員意識調査による「主体性」「挑戦」の課題もあり、早急に風土改革を行う必要がありました。また、コロナ禍でお互いにコミュニケーションが取りにくくなったため、組織運営にも影響が出始めました。健全な職場環境を目指し、お互いを尊重し助け合う意識醸成が必要だと考えました。すべてのコミュニケーション、対話のベースとなる「心理的安全性」を社員の共通言語化し、「しなやかで強い組織(チーム)づくり」を推進しようと取り組みを開始しました。

――始めるにあたり、留意したこと、社内周知も含めてご苦労されたことはありますか。

「心理的安全性の風土醸成」の推進に関しては、マネージャーのスキルとしてメンバーの一人ひとりに向き合う重要性の説明を丁寧に行い、研修後もフォローを行いました。特に役職者には「印象に残ったこと、どんなことに役立つのか」その場で振り返ってもらいました。

――「ここが良い」というところを教えてください。また、これができると「もっと良い」というところがありましたら教えてください。

「マイキャリアマップ」は、1on1ミーティング(1ヶ月に1回30分推奨)の際に「ロールモデルがいない」と悩むメンバーに対して、所属長が「『マイキャリアマップ』でロールモデルやパーツモデルを探してみては」と促したり、社内のキャリアカウンセラーによるカウンセリングの際にも活用されていたり、幅広く活用されています。今後、掲載対象を広げていくと、社員にとってますます有用なツールになるのではと思っています。

――今後の展望

「マイキャリアマップ」は、その存在は知っていても、日常業務に追われてサイトにアクセスする機会を逸してしまい有効活用できていなケースもあるかと思うので、今後も多くの社員に利用してもらえるよう啓発を続けていきます。
「心理的安全性」は社内共通言語になりましたが、更なる浸透を目指します。健全な意見衝突を避けない、不都合なことも話しやすい、仕事の質もコミュニケーション能力も高い環境構築によるチーム力強化が、必ず業績・企業価値向上につながると確信して、これからも施策を推進していきます。

プラチナキャリア構築の視点

「心理的安全性の風土醸成による個性の発揮と成長促進」

長期的
視点

単に長く働くのではなく、年齢によらず活躍し続けるキャリア形成が必要

すべてのコミュニケーション、対話のベースとなる「心理的安全性」について全社員への意識づけと研修を実施。「安心して自分の個性を発揮し、お互いを尊重し助け合う」風土の醸成、能力を最大限に発揮して活躍するための環境整備、挑戦する意欲を引き出すことにつなげています。長期的視点でキャリア形成を支援する取り組みです。

「マイキャリアマップ」

自律的
学び

自ら能動的に学び、経験を通じてスキルを磨いていくキャリア形成が必要

「自分のキャリアは自分で切り拓く」ことを会社として支援。その一環として、社員が自身のキャリアプランを考える際のロールモデルやパーツモデルになり得る「先輩社員のキャリア情報」をイントラネットで公開。どんなスキルを身につければ目標とするキャリアに到達できるのかといった指標や、自律的学びの必要性を認知させることでキャリア形成を支援しています。